2006年 04月 12日
松江の茶と珈琲・考「其の壱・もてなしの心」 |
以前、県外の方から「松江の人は、お茶が好きですよね」と言われたことがあります。
私は、その旨がわからず、問い返したところ、その人曰く
『松江の知人を訪ねた際に、お茶の持て成しを受けた。ボリブデン鉱の一部を釉薬に使ったという濃緑色の湯呑茶碗に注がれた緑茶を空けると、家の主は、すかさず急須を差し出し、湯呑に注いできた。
季節は冬で、お茶を飲めば体は温まるものの、喉が全く渇いていなかったため、飲めずに残していた。暫くすると、冷めたお茶上に、更に注いできた。話の継穂を探る合間ならともかく、話の筋をへし折ってでも、不躾にお茶を注いでくることに、自分はいささかの焦燥を覚え、優美な甘さを含んだとろみのある玉露が、いつの間にか、薄く仄かに苦渋の味のする嫌悪感に変わっていた。
湯呑は、表面張力に依る緑茶の高原と化して、今にも溢れんばかりになると、主は「ささ、飲んでください、飲んでください」と急須片手に強制するようになり、最初は温和に慫慂していたのが、何時しか、倣岸かつ、今にも噛み付く勢いで迫ってくるので、仕方なくそれを飲み干すことになった。
そして、いい加減腹の中がお茶で膨れてしまい、これ以上飲むと、腹を下してしまうことを冗談めかして告げてみても、主は、全く意に介すことなく、更に注ぎ始めようとしたので、慌てて手で湯呑に蓋をした。すると主は、指の隙間へ強引に急須の先をねじ込ませて注いできた。自分は、戦慄を覚え、主の方を仰ぎ見ると、主は、憎悪のこもった目でこちらを睨み付けていた。
仕方なく黙ってそれを飲み干した後、今度は、湯呑をそのままテーブルの下に手に持ったまま隠していると、主は、顔を真っ赤にして、おもむろに立ち上がり、疲れの目立つ陰険な奇声を発し、熱湯の入った急須をテーブルの角で叩き割った。
その光景に自分は、喫驚すると同時に、激しい恐怖に捉えられ、何を思ったのか、湯呑を主の額めがけて投げつけ、外へ逃げた。』
その話を聞いて、私は「松江人は、何故胃に優しい薄めの珈琲を好んで飲むのか?」という疑問が氷解し、すっきりとした気分になりました。
すみません・・・。
上記は全てフィクションです。
松江の人は皆いい人です。
私は、その旨がわからず、問い返したところ、その人曰く
『松江の知人を訪ねた際に、お茶の持て成しを受けた。ボリブデン鉱の一部を釉薬に使ったという濃緑色の湯呑茶碗に注がれた緑茶を空けると、家の主は、すかさず急須を差し出し、湯呑に注いできた。
季節は冬で、お茶を飲めば体は温まるものの、喉が全く渇いていなかったため、飲めずに残していた。暫くすると、冷めたお茶上に、更に注いできた。話の継穂を探る合間ならともかく、話の筋をへし折ってでも、不躾にお茶を注いでくることに、自分はいささかの焦燥を覚え、優美な甘さを含んだとろみのある玉露が、いつの間にか、薄く仄かに苦渋の味のする嫌悪感に変わっていた。
湯呑は、表面張力に依る緑茶の高原と化して、今にも溢れんばかりになると、主は「ささ、飲んでください、飲んでください」と急須片手に強制するようになり、最初は温和に慫慂していたのが、何時しか、倣岸かつ、今にも噛み付く勢いで迫ってくるので、仕方なくそれを飲み干すことになった。
そして、いい加減腹の中がお茶で膨れてしまい、これ以上飲むと、腹を下してしまうことを冗談めかして告げてみても、主は、全く意に介すことなく、更に注ぎ始めようとしたので、慌てて手で湯呑に蓋をした。すると主は、指の隙間へ強引に急須の先をねじ込ませて注いできた。自分は、戦慄を覚え、主の方を仰ぎ見ると、主は、憎悪のこもった目でこちらを睨み付けていた。
仕方なく黙ってそれを飲み干した後、今度は、湯呑をそのままテーブルの下に手に持ったまま隠していると、主は、顔を真っ赤にして、おもむろに立ち上がり、疲れの目立つ陰険な奇声を発し、熱湯の入った急須をテーブルの角で叩き割った。
その光景に自分は、喫驚すると同時に、激しい恐怖に捉えられ、何を思ったのか、湯呑を主の額めがけて投げつけ、外へ逃げた。』
その話を聞いて、私は「松江人は、何故胃に優しい薄めの珈琲を好んで飲むのか?」という疑問が氷解し、すっきりとした気分になりました。
すみません・・・。
上記は全てフィクションです。
松江の人は皆いい人です。
by niagara-cafe
| 2006-04-12 18:51
| ■与太話■
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Comments(2)
Commented
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Monk's Music
at 2006-04-12 20:20
x
もっと読みたかったよ〈笑
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niagara-cafe at 2006-04-13 14:26
モンクさん
本当は全く別のことを書くつもりでしたが、いつの間にかこんなことになってしまいました・・・。
本当は全く別のことを書くつもりでしたが、いつの間にかこんなことになってしまいました・・・。